消防団!とは?

地域の火災というのはだいたい消防署がまかないます。
消防車にのってグワッとやってくるあれです。
かっこういいですねー。
消防署は、公の機関からお給金をいただいて、日々、訓練する
消防を生業にするひとですが、消防団は日々、自分の仕事を
しています。ゆえに、ボランティアなのです。

消防団。これは普段サラリーマンだったり、大工だったり、
漫画家だったりします。「広域火災発生!」とひとたび
放送がかかると、家でくつろいでようが、風呂にはいってようが
寝てようが、地域の「消防小屋」に突き進んで行き、
他の消防団員さんが定数にたっするまで待ち、消防の装備をして、
消防署のみではまかないきれない大規模な山林火災や大火事の
際には消防団がかけつけます。

仕事帰りにそうしたことに気付いた場合、そのまま小屋に
突進するそうです。
で、消防車がいってしまったあとの場合、火災現場に直行する
して、車に常に乗せておくことを命じられている安全靴(象が
乗ってもダイジョーブ!)、ヘルメット、うわっぱりを羽織り、
現場に突進してゆくそうです。

してゆくそうです?
そう、私はまだ一回もそんな経験のない1年兵、通称「新兵さん」
なのです。そして5年はやるそうです。5年。

事の起こりは3〜4年前からの電話勧誘でした。
私のすんでいる地域の場合、一家の長男が20〜30歳の間に
地域から5〜6人ノルマで輩出される仕組みでした。
「まさきくん、消防やってくれんかねー」と何度も何度もお電話
いただき、いやよ、ええ、ぜったい嫌なんです。
ええ、断然やりませんとも!
つっけんどんにしてましたが、そこはそれ、地域のフンイキともうしますか、
親の目線のシンドサと申しますか、決して自発的とは言えない状況にまで
追い詰められて
「今年もTくん(地域の先輩)から消防頼まれとるでねー・・・」と
目線を落とした父から暗に「やれよ、まさき、やっとけよ」と
お願いモードも臨場感に達し、本当に嫌々に、ムカつきながら
「やります〜」とダル目に入隊したものです。

と、入隊前に後輩に「なにすんのー?」などと状況を聞きますと、
どーもイマイチなにするのかいわない。ただしきりに「酒は強く
なりますよ」とくり返す。複数の情報網からもひたすら「シンドイよ」
としかつたわって来ない。
まして友人知人は芸術系の人らで、とんと「なにそれ?」なリアクション
しかかえってこない。
オカシイ?なーんかオカシイ・・・とは思っていましたが、入隊して
みました。
安全靴、ヘルメット、各種衣装(三点)など配給され、4月はじめに
すんでる地域の部隊の歓迎会(飲み!)、所属分団(私は第4分団)の
歓迎・送迎会(飲み!)、各種部隊(可搬・ポンプ・階梯)の新旧交代会
飲み会!!)新兵さんの勉強会(歩く訓練、座学ののち分団による飲み!)。

・・・と、4月の土日はなくなりました。面白いほどなくなりました。
飲みもおおむね2次、3次会まで突入します。

社会人やってるひとたちが、たまのお休みをかくも無惨に消防に
費やしておりました。「なんだ?なんでみんな怒らないんだ?」と
ひどくいぶかしみました。が、個々人の話をきくと、少なからずみんな
「これにはこまってるんだー」というアタリがつきました。
「奥さん怒ってるよ〜」とか「早く帰りたい・・・」とつぶやいて
いました。

かくいう私は、バイト、漫画、加えての消防、でして、ひどく困惑して、
ひどく怒っていて、そのうえはけ口がなく、めちゃめちゃなコンディションに
なっていました。気が狂うかとおもいました。マジで。

分団は地域ごとに成立してますので、だいたい20〜30才男子で
構成されますゆえ、どうしたって中学までの同級生、先輩後輩で
顔見知りなのです。「あっ!先輩!」と私にしても3〜4人の
顔見知りがいました。同窓生もふたり。そういう意味では楽な
居心地でありますな。
ちなみに分団長が中学の同級生。6年やってるそうです。
(楽しい友人でもありまして、中学ん時は私が生徒会長、今の
分団長が副会長だったことから、消防の飲みの時には
『な〜会長』と、すりよってきてくれます。ああああ〜)
ただ、消防は経験がモノをいうのでってことで、新兵のワタクシはあらゆる
下っ端としてたちまわることになります。

さて、4月中旬には私は「階梯部隊」として、ハシゴあやつる、儀礼的な
部隊にはいりました。
消防、ってくらいなのだから、訓練はホースもって水ジャーってするもの
ばかりだと思っていましたが、いやいや、全然。
5月下旬にやってくる『競練会』なるものに向けて、各部隊しゃにむに
訓練しています。新兵の朝は早い。朝4時には起きて、45分には小屋を
開けてみなさんの御越しを待ちます。5時すぎてから訓練場所にゆき、
訓練としてハシゴを持ち上げたり、たてたり、歩いたり、走ったり
しまして、朝7時に小屋に戻り、各々仕事に向かうのです。
(わたしには仕事後に漫画、がついてきますが、夜も遅いと翌日の
訓練時にさっそくランニングで吐くハメになります)
おお、おお、なんだこの熱心さは?
なんでも町でも1、2のキビシサのある部隊なんだそうです。第4分団。
くわー!

5月。GW(ゴールデンウィーク)は日々かけなかったマンガをひたすら
かきました。ひたすらかきました。うれしかった。たのしかった。
と、GW明けに早朝訓練。ふ〜、という間もなく、翌日まんが持ち込みを
して、ヘロンヘロンな状況のまま、日曜の朝8時からの訓練にいきますと
まさきくん、まんが、どうだった?」と聞くのです。

「え?・・・うん。なんとか。うん、どーかなー」
返事のことはさておき、消防にあって、持ち込みにいってたゆえに
朝練2日つぶしてしまった私にまんがのことを「どうだった?」とは
なんかはがゆい嬉しさがこみ上げてきました。
毎朝、私は栄養剤を飲んで、訓練に向かっています。それでも夕方には
クッタクタになってて、まんがに使える時間も極端に削れられてて、
メンタルな面で極端にすりへっていました。
まんが、遊びじゃないのに!なんだちくしょうコノヤロウ!』などと
消防はまんがに百害あって一利なし!とムカついていたのに、
ああ、そうか、こんなこともあるのか・・・と気持ち、穏やかに
なりました。

そうはいってもプライバシーな部分、メタメタにされていることは本当。
それでも優勝めざしてあと10日!ってところまできました。
今週も土日とあります。来週もほとんど休みはありません。
憎んでも、愛しても大会まで突っ走るところまで来ました。
その後、小学校の運動会にも参加、とかイベントは6月まで続きます。

さて・・・
私はまだ一度も火事場に立っていない消防団員です。
リアルタイムに続く訓練にヘキエキとしつつ、まんがをかかねばならない
人間です。
ゆえに、色々感じていますが、まずはやってみてからのものでしょう。
消防団に入ってない人も沢山いますが、それはそれでいいでしょう。

まずはこんなところです。
ここ2ケ月は本当に気違いじみていました。ダイエットにはオススメできます。

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