NEXT GATE!
私は中古屋めぐりが大好きである。動くもの、使えるものをふんだんに
捨ててしまう人がいるので、私のようにあまり見てくれや、モデルチェンジに
敏感でない人間にはうってつけなものがワンサカ置いてあるのである。

特に中古CDを見るのはいい感じでありまして、ここには通常の流通経路から
「古い」ってことで出まわわなくなってしまった商品、廃盤になってしまった
ものが、まだ商品価値、ありまっせ!とがんばっている。

ある日、私は車でフラリと出かけたときに、ふいに新しくできた中古リサイクル店を
発見した。反対車線だったので、回ることもいとわずに急行してみた。
おおむね、こういった店の場合、家屋、それも大きなものが満載になっている。
その端っこに申し訳程度にコミックやCDがぞんざいに置かれている。

見るともなしにCDを物色していると、白井貴子さんのCDが出てきた。
今でこそ「ひるどき日本列島」なんてなNHKのお昼のパーソナリティになって
しまっているけれど、自称しているように、あのひとはロッカーだったのだ。
小比類巻かほるさん系の少し前のロッカーだったのだ。私は大好きだった。
火事にあって、CDをなくしてしまっていたから、よろこんで「ラズベリーキック」と
いう、すっかり黄色に日焼けしたそのCDを買った。

このCDの購入には確固たる目的がありました。「NEXT GATE」という
曲がこのアルバムに入っていますが、どーーーーしてもこの曲が欲しかった。
ドキドキしながら家に帰りました。
(注:車載CDは現在不調でして、車で聞くことはままならないので、私はジャケットを
みてはにんまりして帰宅した)
かといって、自宅のコンポも絶不調!CDが回転したりしなかったり。
こうなると頼りは我がコンピュータ・MacintoshのCDプレーヤー。

MacintoshにCDをいれて、ゴロンと寝転んだ。
目的の「NEXT GATE」がかかると、私はすぐに起き上がる羽目になった。

うわ!すげーいい感じ!
アレンジといい、ドラムの濃さといい、歌の元気さといい、ながやテンションの狙う
ところのものが、やっぱりこの曲にはある!
白井貴子さんの確信に満ちた声がこの曲をものすごく素敵にしている。

さて、話しはグワッと飛ぶが、私はスクーターを持っている。高校の卒業で買ってもらった
「カーナ」という機種である。このカーナは例の火事の際、唯一持ち出せた家財の
ひとつであり、10年以上、今だに現役のすばらしいマシーンである。
幸田で、大阪の南河内、藤井寺、吹田時代を生き残り、今また幸田で走っている。

そのカーナの次世代ハイパースクーターとうたわれたのが「Hi!」である。
ハイパースクーターってのは、かつてママさんスクーターがのろのろ走ってた
時代に、アクセルによってはウイリーもしてしまう程の元気エンジンを搭載した
時代の申し子であった。
私のカーナにはカウルに「ハイ・カスタム」と英語で銘打たれており、ちょうどこの
新機種への移行期だったようである。

その「Hi!」のテレビCMってのがサーキット場でそのスクーターがウワァァァン!と
走ってる、というものだった。
そのBGMにかかっていた曲がこの「NEXT GATE」だった。
チープな画面はさておき、私はこの曲が大好きになった。

歌詞もサーキットでの歌らしくなっているんだけど、前へ、前へ!って勘違いでも
なんでもいいけど、確信に満ちた、そう、自信がある歌なんだ。
満足って状態でもなく、まるまる「夢は?」と夢想してるでもなく、いろいろ分かって
きてるんだけど、いいさ、やってやるさって前に向かっていく歌なんです。

今の世の中で自信を持つのはとても難しいことなんだけれど、それでも
「持っていこうぜ!」って歌ってくれている、その姿勢が、この歌からもらえるんです。
大人がいい加減で、好き勝手してて、子供も相応に困惑と放蕩に迷うとき、
「NEXT GATE」という曲にはそれに対するひとつの姿勢が出ていると
思うんです。いや、そんなの好みによるから、といえばそれまでですがね。
それでもそんなの勘違いだよ、といわれればそれまでですけれどね。

そんな風な勘違いってんなら、いいよ、だまされてみるよっていいたくなる歌なんです。
と、ゆーわけで、私は「NEXT GATE」の味方です。

聞いてるうちに「こうしちゃいられないっ!」って立ち上がるんです。
こうしちゃいられないっ!    いいじゃないですか。いい歌なんですよ。マジ。
 

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