ネットで商売するにわん?

思い立ったのはずいぶん前なんだけれど、ネットって遠く、近くというのが
あんまり関係ないから、その特性をふんだんにつかってやろうとは思って
いたのね。
思ったのは「ネットで商売」なわけ。
んー、でもさ、いざ「さー、商売よ!」って意気込んで言ってみたところで
ホームページのプロバイダがさ「商用不可」とかゆーわけよ。
こっちはネット見るのにお金を払ってきてたのに、「商売はあかんよ」と
ゆーのである。
ホームページ始めるときはネットできればいー!ってそんな注意事項の
「商用不可」とか眼中にないわけよ。そーゆーことがあとあと凝り始めると
やっと理解できてきて、不都合を感じたりするのね。
ああ、ワタクシもここまできたんだなー、とうれしかったりして。

で、商用OKな無料サーバってのもあるのね。フリーチケットシアターだとか
Freewebなんてのも性能としては十分なのね。

でーもさ、いろいろCGIとかでカスタムできることが、すでにネットで
見知っている現状だと、いろいろやってみたくなってしまうわけなのね。
「CGIやりてー!」と叫んでみたところでプロバイダがさ「CGI不可」
とかいうわけね。お金払ってホームページとかつくってきてたのに
「CGIはアブネーからアカン」とかつっぱねるのよ。じゃーいーよ、と
「UNIXシェル」のスペース借りようとしたら、すでに申込をキャンセルして
新規申込してなかったりする。きーっ!ムカつくったら!。
カンタンにいうと「CGIは一切ダメだかんね!」といってるのである。
クソー

でね、地道にCGIの独学をはじめてみた。まずは知人エンドーがCGIの
本をくれたので繰り返し読み返してみた。
これはエンドー自身がパスワードページ作るつもりで、マッハのスピードで
挫折した時に残してた本らしく、あわよくばながやにCGIを覚えさせ、
自分にとりこもう、という意欲的戦略の一環だったのね。

「パーミッション」だとか「Telnet」だとかまたも専門用語がドーンと
波のように襲ってきた。CGIはCGIってものの勉強だけでは済まない。
ホームページ作りで「HTML」とか「アップロード」とか「拡張子」とか
単語から「それなあに?」な状況だったのを思い出しました。
ああっ、またもこの状況からはじめなくてはならないのねー!と
頭がグワングワンと痛くなってきました。

一方、インターネット上で商売とCGIをふんだんに楽しむには
「独自ドメイン」とってレンタルサーバ確保した方がいいってことに気付きました。
でもその頃、世間で出回ってるサーバってのが月に5000円やら1万円を
「激安!」なんていってる
。庶民のアタクシには高え!の一言です。
誰が5000円や1万円を「安い」というのでしょう。少なくともアタクシの
回りにはそんなことに手を出す酔狂な人はひとりもいません。プン!

そんな中、インターネットの本で「月々2000円で100Mのレンタルサーバ、
CGI使い放題、メールアカウント出し放題」
ってな歌い文句の破格なものを
発見しました。
これはまさにわたしの希望のラインにぴったりの状況でした。なおかつ、
「独自ドメイン」ってのももてるという!ああ、あの憧れの「独自ドメイン!」
食べたことないけれど、あおこがれの!ああ!

CGIが急に「できそう!」な予感になってきたので急に急にCGI勉強に
本腰になった。本腰になったがわからない。わからなくとも本は繰り返し読む。
図書館に、本屋に、ネット上に、オレサマにCGIを教えてくれるテキストを
探すようになっていた。

でーもさ、いざ「できた」ってCGIの使える環境がねえってんじゃ、試しに
使うってこともままならない。

こうした段取りからわたしはCGIと独自ドメインをとることにしました。
「知らない」ことばかりでしたが、それはホームページはじめた時だって
いっしょだったもんね。必ずやってみせるもんね!と決意。

1999年11月初旬。さくらインターネットの「バーチャルドメイン」を
使うことに決定。その準備に「2万円」がいるらしい。その資金すらワタシには
高い、と感じられたので知人とシャアすることを思いつきました。
ひとり5000円の4人。知人でネットに冒険的なメンバーを選び、快諾いただけ
たので、さっそくかねてから決めていた「pandaking.com」を申請してみようと
したが、この「〜.com」ってのは世界規模の会社なんかにつかうものだってんで
あきらめ、じゃぁ、じゃぁ、と「pandaking.or.jp」を申請してみた。

したらば「申込受けました。ではあなたの会社の登記簿送ってください」ときた。
なぬ?登記簿って???電話で「それってどこにあるのー?」とさくらさん
聞いてみた。「え?ないんですか?どんな団体なんですか?」と聞いてくるので
素直にアホアホネット万歳〜な僕ら、ですというと「では〜〜ne.jpにしたら
大丈夫です」と親切に教えてくれた。おーい、みんな、はじめてドメインやるなら
さくらさんとこはいいところだぞ!ってこのときみんなに教えてやろうって
決意した。うれしいなー、こんなアホアホ企画に真面目に答えてくれる人が
いるなんて。

つーことで「pandaking.ne.jp」で公の機関に申請した。およそ1ケ月で
100Mのコンテンツスペースとメールアドレス出し放題とCGI、SSI
作り放題の環境を用意した。
まずは持っておくことが大事なのである。どーつかうかはあとあとでもいーのである。

さて、ある日、CGIってものについて「よくわからんがやってみよう!」と
挑戦的になった。そもそもCGIをやることに恐れていたのは、後輩に
「CGIはサーバの中で動くものだから、下手な失敗すると、そのサーバを共有
してる他の見ず知らずの人にモノスゲー迷惑がかかるんです」という話だった。
わたしには未だサーバの共有ってのの図がイマイチわかんねーが、まーともかく
誰か困るらしいってのに心がひっかかってCGIはひかえようって思ってたのだ。

だがもうやめだ!他人の心配してたらオレサマのCGIは永久にやってこない!
オレはやるぞ!必ずアホなCGIをやってみせる!ああ、たとえどこの誰かが
サーバとやらで「困ったー」とこになってもゴメンなんだけどやるぞー!

その日は決意した。わたしは年に何度か、こうした決意のできる男である。

まだ独自ドメインがもらえてない頃だったので、わたしは無料HPで
CGI使い放題のFreewebで試すことにした。ここでノウハウを培っておいて、
独自ドメインが来る頃には「ヘイヘーイ!」なCGIドライバーになろうと
決めていた。

実際にアップロードし、パーミッション変更もし、CGIってのを使ってみた。
おおおお!動くじゃん!そーか、CGIってのはそーゆーもんだったんかー!と
感激した。あれは自分で作ってみないと分からない感動である。
ちなみにはじめて使ってみたCGIというのは「人工無能」というもので、
チャットシステムに「コンピュータ」が返事してくれるよーなシステムであった。
はじめてやるのが掲示板でもチャットでもないのがアホアホ魂ゆえのところである。
「やあ、はじめまして」と話しかけると
「『やあ、はじめましてって何?』」と聞いてくるアホなソフトであった。
ああっ!アホでケッコー!俺は続けてみせるぞ!と嬉しくなった。

そして一通り遊んだころ、よーやく初心の「商売」を思い出した。
そーだ、俺、商売しなくっちゃ。つーことで、突貫工事でコンテンツを
組んだ。コンテンツを作る容量もCGIの環境も確保してある。あとは
やる気である。

わたしが始めたのはTシャツ屋からである。パソコンでTシャツの絵柄を
プリントできるし、自分で絵もかけるし、商売はじめるには非常に適当な
アイテムだったのだ。

とりあえず、大量に入荷できる無地のTシャツ屋をみつけた。そうした
発見発掘の作業はそれだけでも楽しいものだった。

いざネットで商売するにあたり、既存の「ショッピングモール」ってのが存在
してるんで、じゃー、おれもいっちょかみー!と思ったら「月々3万!とか
例の「月々〜」が出てきた。アホかー!高えー!といつものようにムカついた。
ショッピングモールってのはクレジットカード買い物ができたり、各種CGIの
準備が整っていたり、他店舗との共存でネット上でのインパクトを維持する
方法である。いろいろ準備してる分だけ安全策などが完成している。

しーかしだな、それに月々3万とか1万とか払うのは奇怪に思えた。
インターネット世界そのものは「ただ」なのである。その「ただ」の上に
のっかっていながら、そこでコンテンツで稼ぐことのできる人がいる。

うーし、稼ぐ側になってやろう、と思った。
いざ本格的にはじめようとするといくつかの問題がでてきた。
振込口座とか、連絡先の暴露などである。いろいろ考えて「口座を作ろう!」と
決めた。それもながやのショッピングレーベルパンダストライクス!なる
名前で、である。
この「パンダストライクス!」というのがキチンとしたところで音読するのは
かなり勇気がいる。わたしはアホ企画好きだが、シャイで気の小さな男なので、
「あのう・・・この名前で・・・」と郵便局でおずおずと口座を作ろうとしたら
「団体ですか?」と聞いてきた。
「・・・・ええ、そんなようなものです」と答えるが
「じゃあ、規約かなんか、出してください」ときた。
規約?規約ってなーに?(いつも一緒だな、俺)

その日はあきらめた。あきらめたが郵便局も運が悪かった。
わたしの今年のモットーが勝つであったのだ。わたしはいつもなら
あきらめるところを「必ず作ってやる。作るまでやめないかんね!」と決めた。
そこで次回は「規約」とわたしが思っているものを作ってみた。以下のような
ものである。


パンダストライクスに関する約束事

● パンダストライクス!の存在目的
1.我々はインターネット上(http://www.pandaking.ne.jp)で、漫画家”ながやまさき”の
描く画像を利用した各種商品(Tシャツ・手袋など)を販売する団体である。
代表・ながやまさき
本部所在地 〒444〜〜〜(ここでは割愛)

● 活動内容
2.通常フリーマーケットなどでの「パンダストライクス!」製作による各種商品販売。
インターネット上ではドメイン「パンダキング」(pandaking.ne.jp・代表:ながやまさき)
コンテンツ内にてインターネット販売(アドレス http://www.pandaking.ne.jp/mmp/pandastrikes/)
スペースを確保し、日本国内をマーケットに設定し、通信販売を展開する。

(補足)
前述の「パンダキング」は設立1999年12月1日。
メンバー「ながやまさき、他〜(割愛)」の4名により構成される。
インターネット上で独自ドメイン「パンダキング」を設立の際の資本を分担する。
アドレス http://www.pandaking.ne.jp
責任者・代表 ながやまさき(master@panaking.ne.jp)
本部所在地 (割愛)
漫画家ながやまさきの作成するキャラクター「パンダ」をイメージキャラクターに利用し、
ネット上で100Mのコンテンツスペースを共有、メールアドレスの発行を任意で行う。



こんなものに「パンダストライクス!シール」を貼ったものを持って郵便局に
行った。
受け付けのおねーちゃんは目が点だった。アニコレ?って顔してた。
隣のおばちゃん局員とヒソヒソ話しはじめて、ながやの今の事態はあまり
芳ばしくない方向に向かっていることが分かった。
案の定「これではちょっと・・・」と言い出したので、
「ん?何がアカンのですか?」と食い下がると
「これは会の規約っていうより、ここに口座作るためにわざわざ作った規約
でしょう?」と聞くのでそうだよ、と素直に答えた。
「そうじゃなくて、この(パンダストライクス!)会に他人が入会するときの
決まり、としての規約が箇条書で欲しいんです」という。
俺しかいねー架空団体に規約がどーしているのさー!

なにー!それならそーとハヨいえ!とムカツキ指数100パーセントに達したので、
「じゃあ、なんですか?作れないっていうんです
と食ってかかり、
「せめて書式があるんならくださいとぶっちぎれてきた。
相手はやや困惑がちに書式のコピーを出してくれたので、わたしはまるまる
その書式のまんま、規約を作り直した。多少のローカライズはしたが、
以下のようなものになった。


               パンダストライクス規約

第1条(目的) この会はキャラクター「パンダ」を中心にインターネットを経由させ、
        会員相互の連絡・互助努力を計らい、インターネット上
        (http://www.pandaking.ne.jp)で、漫画家”ながやまさき”の
         描く画像を利用した各種商品(Tシャツ・手袋など)を販売を
        促進することを目的とする。

第2条(名称) この会を「パンダストライクス」とする。 


第3条(所在地)この会の本部事務局を(住所・割愛)に置く。

第4条(会員) この会の会員はパンダストライクスのスタッフとする。


第5条(役員) この会に次の役員を置きます。
        代表 1名

第6条(代表) 代表は会を代表し、運営する。

        会員は代表を補佐し、代表が欠員のときは代表の職務を遂行する。

第7条(運営) フリーマーケットなどの販売機会に「パンダストライクス!」製作による
        各種商品販売。インターネット上ではドメイン「パンダキング」
        (pandaking.ne.jp・代表:ながやまさき)コンテンツ内にて
        インターネット販売(アドレス http://www.pandaking.ne.jp/mmp/
         pandastrikes/)スペースを確保し、日本国内をマーケットに設定し、
        通信販売を展開する。
        

第8条(会費) 会員は入会にあたり、入会の際に5000円を負担する。

第9条(規約改正)この規約は会員の過半数の同意をもって改正することができる。

附則

        代表 (住所・割愛)  ながやまさき
        

        2. この規約は平成11年12月1日から適用する。

補足説明
        「パンダキング」は設立1999年12月1日。
        メンバー「ながや他(割愛)」の4名により構成される。
        インターネット上で独自ドメイン「パンダキング」を設立の際の資本を分担する。
        アドレス http://www.pandaking.ne.jp
        責任者・代表 ながやまさき(master@panaking.ne.jp)
        本部所在地 (住所・割愛)
        漫画家ながやまさきの作成するキャラクター「パンダ」をイメージ
        キャラクターに利用し、ネット上で100Mのコンテンツスペースを共有、
        メールアドレスの発行を任意で行う。



これを郵便局にもっていった。
こわいくらいすんなり口座がつくれた
ちなみに銀行は「身分証明」だけもっていけば10分で口座は開けた
郵便局は良くも悪くも公共の機関なのだなー、と実感した事態でした。

さーて、こうしてよーやく商売のインフラ整備は整った。
整ったが、これからよーやく品揃えに気づかえるところにまできた。
長かったなー。

思いついてから2ケ月くらいいろいろかかりました。このエッセイがこれから
商売をしたがる人に役立つといいなと思います。わたしもまだ現在進行形なんで
楽観する理由はないんですが、こうしたことに含蓄のある方はよろしければ
経験談やらいい方法を教えてくださいな。ネットもまだまだ専門用語や
いろんな課金システムやらでがんじがらめな印象があるんですが、もっと
らくーに商売ってスタートできないもんですかねぇ?


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