ものつくり

背中一面がぐあーって痛くなって、寝返りが
うてないほど筋肉が緊張しまくっていて、最初は「例の筋違い」
とか笑って過ごしてたけど、一週間治らなくてさすがに『?』と
不審な気持ちがもたげてきたあたりで「こいつは他の病気では?」
となんだか思ってはいたけど、病院にいけないくらいには忙しい
ので、もう一週間見守ってみたら、痛みが体のあちこちにシフト
しはじめた。こいつぁきっと、患部を無意識にかばっちまった
他の器官や筋肉が無理したに違いない!とふんでバンテリンやら
湿布やらをどさどさ体につけまくったまま働いていたら、今度は
左耳下の腺っぽいところがぷくーっと腫れた。
どれくらい腫れたかというと、首と顎の見分けが一見してわかんない
具合に腫れた。痛くはないけどみっともなくって嫌だった。

そんなおり、大学の友人(の、はず)の中田が作品展示するとの
はがきをくれたので、クサクサしてたので、体調不良ながら、のこのこと
東京までいくことにした。

とはいえ、東京まで出ていくのはさすがにイベントである。
とはいえ、昨今、「ものを作ってる」人間に触れてないことが、
自分の中でやや気になっていたので、刺激をうむためにも行くことに
したのだ。

東京駅について、ああ、そうかぁ、と思った。ごったがえす人は
大人でありオヤジでありうかれた学生であり、化粧のうまい女性であり、
いろんな色の外人であり、そんな人たちが大量にワンサカ歩いて
いるのが東京駅の風景で、そんな人たちに向けてらっしゃいらっしゃいと
商売してる店がワンサカあって、その向こうに遠距離バスの停留所が
あって、ビルがぐんぐんわんわんと伸びている。

つまり、わたしの住んでいる町とは違うのである。
そういう環境下にある人と、わたしが住んでる町と、それよりもっと
田舎にすんでる人に、変わりなく、まんべんなく読んでもらえるような
まんがを俺はかかなあかんよなぁ、と思いました。トートツに。ハイ。

田舎に住んでてひとり「はい!まんが家!」と叫ぶのはいいんだけれど、
まわりもテキトーに「ふうん」っていってくれるけれど、理解はして
くれないので、なんというか、ああ、俺、けだるい環境にあるよなぁ、と
こうして東京から見渡すと、立地点がわかる。

と、中田の展示を友人・爺といきました。中田のお嫁さまもいっしょに
いらっしゃいました。かなり久々にあいましたがお互いに「おう!」と
いいました。ああ、これは楽だなあと思いました。

中田の陶器はおもったより真面目でした。
いっしょに展示されてる女性のガラスは食器にちいさな足がついてて
綺麗でファニーでした。
中田は猫に襲われて、腕に傷のある男になってました。素敵です。
奥さんが中田のことを「中田さん」と呼ぶのがいつもながら素敵です。
「背がのびましたね」とか「静かになりましたね」と奥様にお言葉
たまわりました。・・・・・・そお?
一時間くらいでおいとまして、爺と共に東京を散策しましたが、
買い物をするにはいい町ですね。安いし、たっぷりあるし。

帰路。
殺伐としてた自分の心に、少しばかり潤いを与えられた感じがしました。
私は自分に対して、雑に扱うことがあります。すぐに痛むので、もっと
栄養を与えなくてはいけないぞ!と東京行きの前は思っていたのですが、
友人中田、爺と話してて肩の力が抜けました。

このごろどういうことがあって、どうなって、どうしちまった、とか
ろくろく解説もしないまま「おう!」ではじまって「じゃ、また」と
帰られる友人がいるのはいいもんだと思いました。
近況なんて話してもあんまり意味のないところなもんで。
かといって、「昔はよかった」的リフレインも得意でなく、じゃあ何を
話してるのさ?っていうとだらだらしてるだけなのであります。

ものを作る人間にあわなくては、というのが飢餓状態に近付いていたので、
是が非でも今回は東京に出なくてはいけなかったのです。
中田をみて、ものつくりの結果になっているものをみて、ああ、俺が
好きかどうかなんて次元でなく、「作ってる」ものがそこにある、
その人を見る、というのが、実は重要なことである、と。

もっとひんぱんに友人にあわなくちゃまずいな、と思いました。
懐かしさからでなく、今の自分のフォルムを知ってる人たちを見て、
相手にフォルムを与えてくる人と接して、自分の奥底にたたずみはじめて
しまいそうな「なにか」をたたき起こすだけの愚行はしなくちゃいけない。

ものを作ってる人間にあえるのはいいものです。そいつはものを
作ってます。それだけで、その人には会うに値する感じがします。
たとえ錯覚でも、錯覚を味わいにいけばいいじゃないですか。

東京でおいしい蕎麦を食べました。ギャルでもバイトでもなさそうな
おばあさんが仕出ししてくれました。私にしては珍しくも
「おいしいですね」と言ってしまいました。うれしそうににっこり
してくれました。

翌日、壊れてた自転車をなおしてもらいました。いい自転車屋さんと
出会えました。大汗かきながら、バカみたいに自転車で走りました。

感情に放り込むことをよし、とする、ほうびのようなものを、
私はもっと、自分にあたえようと思いました。


中田夫婦は愉快な夫婦
P.S「カフェオレボウル作ってくれ」とお願いしたら「お前、まだ
そんなんゆうてんのか」としかられた。うれしいよーなかなしーよーな。
中田にしかられた。ふっ。

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