おさいふ

おサイフを買い替えました。ん、ちょっと違うか。だいたい今まで使っていた
おサイフは貰い受けたものだったので。久々に買った、かな。

これは私が大阪に住んでいた頃、アパートが火災に合い、部屋ごと消失した
時にさかのぼる。シホさんという友達がひざかけ、腕時計といっしょに
おサイフをくれたのでした。このうち、ひざかけと腕時計はまだ現役であり、
これからも使うことでしょう。

サイフなんですが、小銭入れの所が擦り切れてしまい、ポロポロとお金がこぼれ落ちて
しまうのを、縫ったり貼ったりしてだましだまし使っていたのです。ここ一ヶ月では
ついに横にするだけで確実にジャラリと大量に出てしまうので「ナルホド!こりゃあ
お金もたまらぬわけよ」とよーやく気付き、買い替えました。

サイフとか、腕時計とか、かえるときってなんだかなにか決意でもしかたのような
気分になるんですが、これまで買い物するにも、財布をおいてた付近には必ず
小銭がジャラリとこぼれていたのを心配しないで済ますのもいいものです。

つか、それまでし続けていた心配が、ある時を境に、フとしないで済むように
なるとふたつのことが頭をよぎります。
1.なぜいままで早めに改善しなかったのか?
2.心配しないで済む事に伴い、いままであった心配がなくなって、サミシイ気分。
いらん手間まで惜しまずに、いままでそうであった自分、を顧みるわけですよ。
破れた財布で。小銭がこぼれても、なんか、「困った」って思えなかった自分が
いたんですよ。随分長くね。

おさいふもらった時、うれしかったのを覚えています。
なんせ火事だったし、全部家財燃えたんだし。そう思うと今自分の部屋に
あふれたものは全部火事のあとに買い溜めたものでしかないってことよね。

あんとき(火災で焼出されたとき)はいろーんな決心したよなって思います。
まんが書くぞー!てなったし、引っ越すぞー(しか手立てがない)ってなったし、
絶対になくしちゃならないものも一斉に燃えつきてしまったし(これはたまらない)、
捨てるに捨てられなかったものが「火事」という理由で燃えてくれたし、
んん、随分火事のおかげで「楽」になったものもあったんですよ。

今、持ってるものってね、半分くらいは「なくなっちゃえばいいのに」って
自分でも思ってるものなんだ、って火事のときにわかったのです。
大事で、取り返しのつかないものもたんまりあるんです。
でもね、「捨てるに捨てられないもの」の数も、同じくらいあるわけです。
それは、自力では捨てる決意に到れないものなんですよね。

だから、火事のあと、私の決意ってものは、半分の重しを取り去った状態でもあって、
随分今のように「持ち直してしまった」状態とは違う「思いきり」があったんです。
それについていいこととも悪い事とも思えないんですけど、それってそういうとき
なんですよね、きっと。悲しくとってもいいし、悪くとってもいいけど、わたしは
「今だ」ってとったわけです。今だ!といってトートツに素晴らしくなるわけでも
ないんですけど、明らかに「そのまま」でいたらダメになる自分、ってのとは
決別してるわけです。モチロン、「そのままだったらもっと愉快!」な部分とも
決別してるわけですね。

人為的に人生をねじ曲げて頑張れる人間ってのもいるのかもしれないけど、
そういう、どこか無理の生じる不正直さまで引き受けるやりかたは私には合わないって
ことなんでしょうね。
わたしは正直さばかりで生きてるとは思えないし、かといってうまーい嘘を続けられる
ほど狡猾でもないので、どうしたって自分の決意の方へニジリと寄るやり方しかできない
モンなのでしょう。

これはどこかで決定的に「自分のやり方は間違っちゃいない」という楽観を見やるわけです。
結果はうんと未来にたんまり期待しまくってるわけです。ばかだなーとか思います。
なんだか、きっとやりたいことできるんだろうなぁって思ってるわけです。

これまで、何度もいろんなことで「そんなことできねえ!」って思ってたことが
随分たくさん「できて」しまったから、ってのもあるでしょうね。

できねえ!ってことができた時、それは「嘘」を私が言ってた、ってことでしょ?
できることができなくても「嘘」なわけですよ。

じゃ、いっそたくさん「できそうもない」ことを期待してた方が素敵じゃない?
そーゆー「嘘」であるなら、つきがいもあるじゃない。嘘、もさ。

周りのみんなが信じてくれても、くれなくても、まず自分が「信じたい嘘」を
上手に信じ込める自分であるなら、ひとまずそれでいーんじゃないかしら?と
サイフの話から連想したわけです。

財布はみごとに小銭がこぼれなくなりました。
ですから、つまんないんです。心配のしようもなくって。
意外なところに小銭がみつけられなくって、なんというか、正直なさいふで、つまんない。

 

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