作成日: 10/09/15  
修正日: 10/09/14  

チョー長生き、でいいじゃん

戸籍に残された仮想世界の超高齢者話


戸籍制度で既におなくなりになった方の記録が残っていて、しばらく大騒ぎでしたね。
まぁ江戸時代の方が生きていらっしゃっるのであれば、それは素晴らしい事だけれど、
私はこの件がむしろファンタジーに感じたのです。戸籍というのはお役所仕事なわけですが
明治、大正、昭和を越えて、平成の世まで「ずーっと手抜かり」であり続けたことは
失敗というよりも奇跡の領域なんではないでしょうか。

テレビではしきりに「坂本龍馬の生きてた時代から」とかやたらと当時の分かるエピソードを
引用して来て「生きていらっしゃれば~~歳!」とはやしたててましたが、実際いらっしゃるか
いらっしゃらないか、ではなしに、そんな時代までさかのぼれて考えたり、想像できたりするモチーフに
出会えてるのがすごい、と感じました。

私たちの最も近い「先祖」は両親です。その向こうにおじいちゃん、おばあちゃんとあって、
誰一人欠けても「今、自分はここにいない」という連綿と続くSFのような「パーソナルな歴史」たちの中で
かーなーりーミラクルな「超・長齢」、ギャル風に言えば「チョーチョーレー」(?)が突然ドスンと
現れた訳です。「生きてたら、生きてるだけで、なんだかチョースゲー」に至ってしまう、という
日常の中のSF。笑い話のように、にわかに信じがたいものとして。
それもどこかしこのひとつ、ふたつの役所だけではなく、全国のあっちこっちに、一斉に,シンクロニシティのように
ポコスカと、ワンサカと、こんもりと出て来た訳です。
すごいよねえ。

お役所は仕事をきちんとしてなくてケシカラン、とか言わないで結構。住民票などの実務に伴う部分での
大きな不備があったりしてるんじゃないんだから、これは平成のファンタジーで済ませちゃいけませんか?
そして「戸籍の方が正しいとしたら!」、そう、それはもう仙人の域です。その上カクシャクとしてひげが
ボーボーに生えたおじいちゃんが御健勝であったとしたら!チャキチャキと台所を守り続ける現役の
おばあちゃんだとしたら!それはもう現代日本の高齢社会は「希望の光」に満ち満ちてしまうんじゃないだろうか、と
想像を馳せる訳です。すさまじい風景だな、と。
齢80、90の人を相手に「まだまだ若いな!」と恫喝されたら、シュンとするおじいちゃん、おばあちゃんがいる
風景なんてのを目の当たりにできるかもしれない。一方でそんな年になってもまだまだ叱られちゃう自分に
おじいちゃん、おばあちゃんはうれしくなっちゃうかもしれない。

この件がなかったら、こんな風に考えるキッカケもなかったんだし、私としてはどきどきするエピソードだと
思うんですよ。