作成日: 11/09/05  
修正日: 11/09/05  

もたない

(もてない?)


台風12号、動きが極端に遅かったですね。テレビで映像を見ていて、3月の
津波と似た風景を見ました。家屋が水没し、流され、車も縦に横に倒れてる。
今年は「ものを持つ」のがはかないとつくづく感じ入る年です。
どんなに買い貯めても、大事にしても、天災ひとつで「失うもの」に
ステータスや希望を見つけていたって、一切合切なくなってしまう。
この体験の繰り返しの中で、なにを大事にするかが大きく変化していってる
年だと思う。

ローンを組んで、一生を費やす事に投げ入れても、「ローンしか残らない」ことを
「誰も助けない」ことが、こんなに赤裸裸で、放置で、無造作で、無関与。
家、でしょ?車でしょ?保険でしょ?なんか、全然力がないのね、どれも。
心が強くなれない。「だいじょうぶ」って思えない。

なんだろ、この「一斉に役に立たない」感じ。

持っておくと安心。準備しておけば安心、だったものは、瓦礫になった年だ。
悪く言うと「よくも騙してくれましたね」とも言える。

「頑張れ」って「頑(かたくな)に、張れ」って書いて頑張れ、だよね。
ずーっと、力入れてろ、って言葉だよね。
折れます。ずーっと入れてたら。心、折れます。

いざ、という時に、踏ん張りが利かなくなる。

日本人が勤勉だと言うふれこみもあるけれど、「ずっと頑張る」ことの美徳が
年間3万人越えの「自殺者」という結果であるなら、この結果責任を凛ととる人が
いますか?自殺、じゃないんじゃないか。

「頑張れ」って言った人、責任とれてるか!!

「言っただけ」じゃ済まないよ。言葉ってそんなに軽いもんじゃない。
このごろ、特にそう思うようになった。
やりっぱなしの人ばっかり。放りっぱなしで知らんぷり。
なのに人には「頑張れ」だと。だってさ。

今しなくちゃいけないのは、「頑張れ」じゃないよ。
全然違うよ。思考が止まってるじゃん。馬鹿じゃん。馬鹿じゃん。
いい?頑張れ、じゃねーよ。そんなんじゃないからね。考えなしにしゃにむに、って場合じゃ
ないからね。それっぽいからって、「頑張ってないよりいいじゃん」ってもんじゃないからね。

今は「無理しないでね」の時じゃないの?
すっからかんな自分をむち打って、立ち上がれるような余力がどこにあるよ?!
なんで人にそう声をかけてあげないのさ。
目の前に出てきてるもの、ちゃんと見て、考えてものを言ってますか。
「立て続け」の「フレーズ」みたいな単語並べて「話してる」ようなつもりになってないですか。

雰囲気でもの言ってる場合じゃないんですよね。深刻な時は、深刻ってちゃんといいなさい。
言える人は、信用できる。未来ばっかり、遠くばっかり綺麗でどうだっての?
今、生きてるんです。これからも生きるんです。

そこに間に合う言葉が、もっと欲しい。

なにか買うとか用意する、という「持つ」じゃなくて、心の方に覇気の生まれる種を
蒔いたり、清涼感のある心持ちでいられる工夫を仕込む、といった、もっと切実で
もっと切迫感のある心持ちが、今すぐ深刻に欲しい人が、今年はうんと増えてる。

「希望を持とう」とか言えば、もうその言葉は、なんの役割も果たしてない。
希望を持たせるために使う言葉、こそが、本当の役割なのだ。「希望」なんて単語、
むしろ使わない方が、心を溌剌とさせる表現ができるのに。

今年は「嘘をつく」「けむにまく」ために、「その言葉を信じたい」ために
シリアスな結果に向かった年だ。
「信じたい」じゃ駄目だ。「信じられる」言葉であるためには、「ずっと裏切らない」を
続けてる結果の連続でしか成り立たない。言葉を貧相に言い放ってる連中には、相応の
結果が巡ると思う。

言葉は大事。本当に大事。上手に使わないと。信じてる人の気持ちが、踏みにじられて
翻弄された事に気づいた時、取り返しのつかない結果を受け入れるのは、騙された人。
「そんなつもりじゃなかった」という人は、騙した人。

喋ってりゃいいもんじゃないし、黙ってりゃいいってもんでもない。
役に立つ言葉が今こそいる時なのに!