作成日: 12/01/29  
修正日: 12/01/29  

気づけば録画しないで済んでいた

アナログチューナーに罪なし


テレビが地デジ化とかいう魔法で化けて以来、基本的には地デジの入るテレビが
一台もない私は、テレビそのものが縁遠くなってしまったのです。
なんだか物足りないなあって一方で、観なくても平気と分かってしまうと、もうなんだか
テレビなんかいーわ、となって来てしまう。

厳密にはテレビが観れない訳ではない。ケータイのワンセグは映るし、録画までする。
部屋にはひかりTVは来てるので、ピンジャック出力でブラウン管テレビに映りはする。
ただHD付きDVDレコーダー2台はアナログチューナーしかないので、「録画予約」の類いは
基本的にNGである。ビクターのけっこういいビデオデッキもしまってあるが、
録画も再生も機能は十分なのに、テレビが受信できないってだけで、家庭内にはたくさんの
「買わされたのに使えないだけの録画機」があふれてしまった。
なにしてくれてんのよ総務省って感じです。メーカーはアナログチューナー搭載機に
地デジを録画予約させる補足機を作るべきです。地デジ・アナログ変換機じゃなく、
昔のビデオデッキで、今の地デジを録画予約させるマシーンをです!それもGコード対応で!
ヨロシク!

とはいったものの、当世テレビは見ないで済むのでした。
パソコンでテレビで見れないものまで観れたり、それこそワンセグで観た気分にもなる。
その気になったら宅配DVDやらネット経由でレンタル、購入などなど、映像はごまんと
あふれている。

地デジ化で私の中で変わったのは「録画をしない」ってことにすっかり慣れたことだ。
以前は番組改編期には、2台のDVDレコーダーをフル稼働させても足りず、HDレコーダーや
ビデオデッキまで多用する時まであったし、DVDへのライブラリー作りもまめであった。
地デジ化で、これが一切合切なくなった。アナログチューナー搭載機は、いまやデジアナ変換
されたケーブルテレビの届く部屋でしか利用が出来ない。

そもそも録画は出来、DVDも焼ける、まだまだ現役でいられる機種が2台もあるのに、
チューナーがアナログってだけで、単体で録画できないだなんて不愉快。
使ってないけど、ビデオだって録画再生問題ないのに、地デジ電波は入らないため、録画機の
もっとも期待される「予約録画」は一切合切パーなのだ。加えてHDレコーダーもあるので
こいつも現役なのにパーだ。私一人で4台の「まだ壊れてない録画機」がパーだ。
もう一台ビデオデッキがあるから5台がパーだ。パーだよ!パーじゃすまないよ!
「買い直せ」ってことですか。ひどいですね。
捨てるお金のかかる機種4台抱えて、払った挙げ句に買い直せっていうのが、国の指針とは
マータイさんの「モッタイナイ」精神は滅んでおりますな、この国は。
もういっそどこかのテレビ局が国の指針を離反して、「うっとこだけはアナログ波で
まかりとおします!」と電波事情そっちのけで、海上の船舶から海賊放送でも
してほしいほどです。断固支持しちゃう心持ちですよ、ぷんぷん。

ナドト、怒り心頭に至る前に、そもそも「テレビ、もう観ないでもいいや」って日が
こんな21世紀の初期に、自分に芽生えるとは思いませんでした。なんなんだろ、このさっぱりした
開放感ったら。
えーっと、テレビが「疲れる」んですよね、なんだか。
映画、は我慢ができるんだけど、テレビはこのごろ、我慢してる。ニュース以外。いつの間にか。

車載DVDプレーヤーを利用してまで観ていたDVDは、録画されなくなって、焼き付けを
しなくなって、すっかり居場所を失っている。返すとipodなど、ラジオやCDの方が
すんなり居場所を取り戻してる。
ちなみに私はブルーレイを観る再生機がありません。買う気も起きません。
なんか、きっと、まだ済んでないんですよ。「アナログ録画機たちへの懺悔」が。
こんなやり口を国が続けるのなら、もう買うの嫌んなるでしょうね。

実際、嫌んなってるんでしょうね、みんな。
車も、家も、家族も、疲れて、頑張って、維持して、くったくたになって、ハッと
気づくと死ぬ手前の時間なんじゃないかっていう、そン時には「年金はあるかどーか
ワカンナイ」ってんだもん。いやぁ備えるでしょう。もの買わないでしょう。そりゃあそうだ。

誰の家にだってあった「テレビ」を、アナログチューナーのついた機械を一斉に
ごみ扱いにさせちゃうことを悪びれずにする国なんだもん。お年寄りはテレビしか
楽しみのない人だっていただろうに、みんながみんな、買い替えられるわけではないことを
知ってるだろうに、最も誰たちがテレビを必要としているか知ってるだろうに、
それをわきまえても、テレビのアナログものは一切破棄なわけで。
で、やられた側っていうのは、こういうのを忘れないわけですよ。延々と。
次回は違った局面で、もう信頼は取り戻せない訳ですよ。「それは別件」だなんて
みんなは思わない訳ですよ。
買い直せば済む、ってもんじゃない次元の、「ああ、そういうことするのね、うん、わかった。
じゃあこっちも備えるわ、じゃあ。」です。

こんなテレビみたいなことが、年金にも消費税にも出てくるでしょうね。
信用不安とか、説明不足とか、理解を求めていく、とか、言葉のトリックやしのぎは、
本当に人間関係をあやうくしちゃうものですね。
難しくないんですよ。やってることが、人、なだけです。
十分雄弁です。何を言ったか、とか理解を求めていく、とか不埒なこと言ってないで
いいですよ。やってること、がその人です。その国です。誤解されてもされなくても
やってることの雄弁さで済ませられます。

そう思うと、テレビ、録画しなくてもいいやって気がしてきます。
いっそテレビ、もういいやって気にもなれます。私たちが味あわされた気持ちに応じて
もっと気分のいいことに、心が向かえるだけです。はい。